あもうとうげ「天生峠」


泉鏡花の小説『高野聖』の
舞台となった峠です
天生峠
あもうとうげ(答)
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天生峠(あもうとうげ)は、岐阜県飛騨市と大野郡白川村の境界上に位置する標高1,289mの峠。

>峠一帯にブナをはじめとする落葉広葉樹の原生林が広がり、紅葉の名所として知られる。また、峠の周辺には岐阜県の天然記念物に指定されている天生湿原などの高層湿原が点在している。峠周辺の天生湿原を含む籾糠山など山域は、岐阜県の天生県立自然公園に指定されている[1]。
泉鏡花の作品である『高野聖』において、語り部である僧侶がかつて旅をした地として、天生峠が登場する。
引用元:天生峠 – Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A9%E7%94%9F%E5%B3%A0

「さて、聞かっしゃい、私わしはそれから檜ひのきの裏を抜けた、岩の下から岩の上へ出た、樹きの中を潜くぐって草深い径こみちをどこまでも、どこまでも。
 するといつの間にか今上った山は過ぎてまた一ツ山が近ちかづいて来た、この辺あたりしばらくの間は野が広々として、さっき通った本街道よりもっと幅の広い、なだらかな一筋道。
 心持こころもち西と、東と、真中まんなかに山を一ツ置いて二条ふたすじ並んだ路のような、いかさまこれならば槍やりを立てても行列が通ったであろう。
 この広ひろッ場ぱでも目の及ぶ限り芥子粒けしつぶほどの大おおきさの売薬の姿も見ないで、時々焼けるような空を小さな虫が飛び歩行あるいた。
 歩行あるくにはこの方が心細い、あたりがぱッとしていると便たよりがないよ。もちろん飛騨越ひだごえと銘めいを打った日には、七里に一軒十里に五軒という相場、そこで粟あわの飯にありつけば都合も上じょうの方ということになっております。それを覚悟かくごのことで、足は相応に達者、いや屈くっせずに進んだ進んだ。すると、だんだんまた山が両方から逼せまって来て、肩に支つかえそうな狭いとこになった、すぐに上のぼり。
 さあ、これからが名代なだいの天生あもう峠と心得たから、こっちもその気になって、何しろ暑いので、喘あえぎながらまず草鞋わらじの紐ひもを緊直しめなおした。
引用元:泉鏡花 高野聖 http://www.aozora.gr.jp/cards/000050/files/521_20583.html